3Dプリンターの光造形方式を徹底解説!造形の流れやメリット・デメリット

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3Dプリンターの光造形方式を徹底解説!造形の流れやメリット・デメリット

3Dプリンターの造形方式の1つである光造形方式は、材料が液体状であることや表面の滑らかさなど、
様々な特徴を持っています。
本記事では、実際に光造形方式で3Dプリンター出力を行い、造形の流れやメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

光造形方式とは

光造形方式とは、液体状の光硬化性樹脂に一層ずつ紫外線を当てることで硬化させ、立体物を造形する方式です。
3Dプリンターの造形方式の中で、最も歴史があります。
仕上がりは、滑らかな表面で精度も高いため、フィギュアや模型などデザイン性が必要な造形によく使用されます。

また、光造形方式には、代表的な2種類の造形方法があります。

SLA方式

SLA方式は、紫外線の光を点で照射して硬化します。細かく硬化することができるため、
より高精度な造形が可能です。
一方で、少しずつ造形が進むため、造形時間が長くなる傾向があります。

DLP方式

DLP方式は、面で紫外線を照射します。一度の照射範囲が広いため、造形時間を短縮することができます。
しかし、細かい精度を出すことが難しいという注意点があります。

光造形方式の流れ

今回は、T字のオブジェを、SLA方式の3Dプリンター「Form3」で、「Black V4」というレジンを用いて造形を行います。大まかな流れは、以下の通りです。

①3Dデータからスライサーデータを用意
②造形準備
③造形スタート
④アルコール洗浄
⑤二次硬化
⑥サポート材除去・仕上げ

工程を一つずつ詳しく解説していきます。

①3Dデータからスライサーデータを用意

STL形式の3Dデータから、Form3のスライサーソフトで造形プログラムであるスライサーデータを作成します。
スライサーソフトでは、造形時間の予測や造形方向の確認などができます。
光造形スライサー
今回の予測時間は約3時間。

②造形準備

スライサーソフトで作成したデータは、Wi-Fiで3Dプリンターに転送します。
その後、造形を行うプラットフォームの準備や、レジンの補充などの造形準備が開始されます。
また、レジンが入ったタンクをかき混ぜ、残留物がないかを確認し、問題がなければ造形が開始されます。
光造形撹拌中
黒い部品がミキサーで、残留物がないかを確認する。

③造形スタート

Form3の3Dプリンターでは、造形物が逆さまの状態で造形されます。
一層ごとに光を照射し、プラットフォームが持ち上がることで、層が積み重なり立体物ができていきます。
造形中のプラットフォーム
造形中のプラットフォーム。
造形完了直後
造形完了直後。

④アルコール洗浄

光造形では造形が完了すると、周りに付着している未硬化レジンの洗浄が必要です。
アルコールに浸して、洗浄を行います。洗浄時間は、材料によって異なりますが、約5分〜20分程度かかります。
今回使用しているBlack V4は、10分間アルコールに浸します。洗浄用の機械にプラットフォームごとセットし、
中にあるプロペラでアルコールが撹拌され、洗浄します。
アルコール洗浄

⑤二次硬化

アルコールによる未硬化レジンの洗浄が終了すると、内部の未硬化レジンを固めるため二次硬化の作業を行います。専用の機械に造形物を入れ、今回は約30分間紫外線を照射します。この二次硬化の時間も材料によって、
約5分〜4時間と大きく異なります。
二次硬化用機械の内部
専用機械へのセット時。
二次硬化中の造形物
赤い丸の部分が二次硬化中の造形物。

⑥サポート材除去・仕上げ

二次硬化が完了すると、サポート材の除去を行います。
光造形式では、サポートが造形物と同じ材質のため、手やペンチなどで取り除きます。
サポート材は細い形状のため、取り除くとバリが残ります。そのため、ヤスリがけを行って表面を滑らかにします。
光造形サポート材
光造形方式のサポート材。
サポート材除去痕
サポート材を取り除いた痕が残っている。

造形物の完成

サポート材を取り除いた痕にヤスリがけをし、表面を滑らかにしました。
これで造形物が完成です。
光造形完成光造形完成サイド

光造形方式のメリット

精度の高さ

光造形方式は、液体樹脂を固めるため、積層痕が目立ちにくく滑らかな表面に仕上がります。
また、造形中の熱による膨張もないため、比較的高い寸法精度で造形できます。
このように、精度の高さが特徴のため、フィギュアや模型、精密部品などデザインや機能性重視の造形物の製作に適しています。

透明な造形物も製作可能

光造形方式では、アクリルやエポキシといった透明樹脂での造形が可能です。
また、造形後にヤスリがけを行い、薬剤を塗布することでさらに透明度を上げることもできます。

光造形方式のデメリット

後処理に時間がかかる

光造形方式は、FDM方式などの他の造形方式と比較して、造形後の後処理作業が多く、完成までに時間がかかります。主な後処理として、未硬化レジンの洗浄や内部の二次硬化、サポート材の除去が必要です。
また、サポート材の除去痕も残りやすいため、仕上げとしてヤスリがけなどの表面処理を行うこともあります。

紫外線に弱く、強度も低め

造形物は光硬化性樹脂のため耐候性が低く、日光や紫外線によって劣化してしまうため、特に屋外での利用は注意が必要です。また液体状の樹脂自体が低分子量のため、FDM方式など他の造形方式と比較すると造形物の強度が低くなる傾向があります。

まとめ:光造形方式は滑らかな仕上がりが強み

3Dプリンターの光造形方式は、液体状の樹脂に紫外線を一層ごとに当てることで硬化し、立体物を造形する方法です。積層痕が目立ちにくいため、滑らかな表面に仕上がります。
また、熱による膨張もないため、寸法精度も比較的高く造形できます。一方で、太陽光による劣化や、他の造形方式と比べた際の強度の低さには注意が必要です。
これらの特徴から、光造形方式はフィギュアなどの外観重視の造形や、精度が求められる精密部品の出力に適しています。

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