3Dプリンター出力の一連の流れ|実際にレンチを出力してみよう!

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3Dプリンター出力の一連の流れ|実際にレンチを出力してみよう!

3Dプリンター出力は、切削加工と比べるとコストや時間を削減できます。では、どのような流れで出力は行われるのでしょうか。
そこで、本記事では実際に「レンチ」を出力し、データの準備から出来上がった後の仕上げまで、3Dプリンター出力の一連の流れを詳しく解説します。

3Dプリンター出力の流れ

今回は、熱溶解積層法(FDM方式)を利用して、2つのレンチを出力していきます。
使用するのは、F370とMarkXという3Dプリンターで、材質は使用頻度が高いABSとOnyxです。
大まかな流れは、以下の通りです。

①3Dデータ(STL形式)の作成
②造形プログラムの作成
③3Dプリンターにデータをダウンロード
④3Dプリンターに材質をセットして造形
⑤サポート材の除去
⑥表面処理や仕上げ加工

それでは、工程を一つずつ見ていきましょう。

①3Dデータ(STL形式)の作成

3Dプリンターは、3Dデータを材質で直接造形する機械です。そのため造形には、最初に3Dデータを作る必要があります。3Dデータの作成は、主に2つの方法があります。
CADソフトを使う:3D-CADソフトを使って、3Dデータを作成
現物をスキャン:3Dスキャナーを使って、現物を読み取ることで3Dデータを作成
3Dプリンターに必要なデータについてはこちら→ 3Dプリンターに必要なデータ

作成した3Dデータは、ほとんどの3Dプリンターソフトに対応しているSTL形式に変換します。STL形式とは、形状をこのように三角形のメッシュで表現したデータです。
STLデータ

②造形プログラムの作成

STL形式に変換したデータは、各3Dプリンターのプログラム作成ソフトであるスライサーソフトに読み込ませます。その後、出力の方向やスピード、積層ピッチ(層の厚さ)などを設定して造形プログラムを作っていきます。このソフト上では、出力シミュレーションも可能で、完成までの時間や材質の使用量まで予測できます。
スライサーソフト
MarkXのスライサーソフト 内部の密度である充填率の調整もできる。

③3Dプリンターにデータをダウンロード

ソフトで作成したプログラムをスライサーデータとして保存します。そのデータをUSBに移し、3Dプリンターに直接差し込むことで造形の準備は完了です。

④3Dプリンターに材料をセットして出力

造形の準備ができたら、材質を3Dプリンターにセットします。FDM方式では、糸状の材質をリールで巻いたフィラメントを使用します。
F370フィラメント
F370のセット部分 サポート材も含めて4つ入る。
MarkXフィラメント
MarkXのセット部分。

セットが終わったら、材質を加熱していよいよ造形開始です。定期的に問題なく造形できているか確認をしながら、終了するまで待ちます。造形時間は、積層ピッチや内部の密度などによって変わります。今回の場合は、F370(ABS使用)は約2時間、MarkX(Onyx使用)は約4時間の造形時間です。
F370造形中
F370の造形中。
MarkX造形中
MarkXの造形中。

先にF370の方の造形が完了しました。造形後は台に張り付いているため、反らして外します。写真のように、造形の跡がつくので、この台は定期的に交換します。
F370造形後
レンチの横にあるのは、問題なく造形が進んでいるか確認するための試し打ち。これと造形物を、一層ずつ交互に造形する。

約4時間後、MarkXの造形も完了しました。こちらは、サポート材が本体の材質と同じなので、張り付き防止用のためにスティックのりを台に塗っています。
MarkX造形後
MarkXの試し打ちは、台の周りで行われる。

⑤サポート材の除去

3Dプリンターでは、テーブルへの付着防止や宙に浮いている箇所を支えるために、サポート材というものを同時に出力します。そのため、造形後にこのサポート材を取り除く必要があります。
サポート材の詳しい解説はこちら→サポート材の役割

F370の造形物につくサポート材は、まず大きい部分を手で剥がします。剥がすのが難しい細部のサポート材は、粉末状の薬剤と水を混ぜてアルカリ水溶液を作り、超音波と高温でサポート材を溶かすという方法で除去します。
サポート材除去
サポート材が溶けたら、アルカリ水溶液に浸していた時間と同じくらいの間、水につけて洗浄します。
サポート材洗浄

MarkXで造形した方のサポート材は、造形物の材質と同じOnyxでできているため、手や工具などで剥がし取ります。この場合のサポート材は剥がしやすいように、密度が低く柔らかい状態です。

⑥表面処理や仕上げ加工

サポート材の除去が完了すると、基本的には完成です。ただし、熱溶解積層方式(FDM方式)での造形は、製品の表面に積層痕が残ります。そのため、見た目の精度を上げる必要がある場合は、薬剤で溶かすなどの後処理で対応します。

弊社ならではの仕上げ

3Dプリンターでは、1mm以上(通常M6以上)であれば、ネジ山の造形ができます。
さらに当社では、機械加工も可能なため、それ以下のネジピッチでも追加工いたします。負荷がかかる箇所などでは、ヘリサート加工の対応も可能です。
追加工についての詳しい解説はこちら→追加工について

レンチが完成!

今回は表面処理がないため、サポート材の除去ができるとレンチの完成です。
サポート材を溶かしたABSのレンチは、洗浄の際に吸収した水を乾燥させます。
レンチ完成

まとめ:データ →造形 → 仕上げ

実際にレンチを製作して、3Dプリンターの出力工程を見ていきました。工程を大きく分けると、「データの準備」「3Dプリンターでの造形」「完成後の仕上げ」の3つです。切削加工などと比べると、工程が少なく、時間を短縮できます。短納期・低コストでの製作の際には、3Dプリンターでの出力をぜひご検討ください。

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